部長とあたしの10日間
まずい。
このまま一緒にいたら変な気になってしまいそうだ。


「部長、…起きて下さい」


40歳とは思えない、キレイな男だとは思っていたけど、違った。
年齢なんて関係ない。
部長は他とは比べる必要もないくらい極上の男だ。


目が離せない。
整った顔立ちに、ネクタイを緩めた襟元から覗く鎖骨に、キレイな長い指に、体が熱くなるのを感じる。


部長はどうやって女性に触れるのだろう。
今まで抱かれた全ての女性に嫉妬しそうになる。


『興味ない?
そういう強引な男が、好きな女の前でどんな顔するのか』


あのときは悪趣味ってバカにしたけど、今になってようやく沙織の言葉が胸に響く。


いい加減、認めざるをえない。
あたしはこの男が好きなのだと。
この男が欲しくてたまらないのだと。
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