部長とあたしの10日間
金曜 18:00
「───何であたしが付き合わなきゃいけないのよ」
隣でぶつぶつ文句を言う沙織をなだめながら、あたしは目的地の居酒屋を目指す。
吹き付ける風が冷たい。
「いいじゃない。
繁忙期でもないし、どうせ暇でしょ」
珍しいお酒も揃ってるらしいよ、とあたしがスマホで調べた店の情報を沙織に見せると。
少しは気持ちが動いたのか、沙織はホームページをスクロールしながら言った。
「ていうか、企画部の飲み会に参加って、あんた気まずくないの?
つい最近和田さんに振られてなかったっけ?」
「そんな大昔の話、もう忘れたわ」
そう言ってあたしが舌を出すと、沙織は溜め息をつく。
部長が欲しくてたまらないと自覚はしたものの、まだまだ相手にしてもらえていない。
とりあえず距離を縮めたいところだけど、他部署の上司と接する機会がそう何度もあるわけじゃないし、どうにか誘えたとしても応えてくれるとも限らない。
そんなとき、企画部の飲み会の話を耳にしたのだ。
どうやら件の大阪出張が、大手企業との契約に繋がったことの慰労会のようだったけれど、企画部の男性陣に今夜暇だと匂わせたら、案の定、女子は多い方が盛り上がるからと誘われた。
とは言え部外者が一人で乗り込むのは気が引けるから、沙織を道連れにしたというわけ。
「あんた本当にいい性格してるわよね」
沙織が呆れた声を出した頃、あたしたちは目的の店に辿りついた。
隣でぶつぶつ文句を言う沙織をなだめながら、あたしは目的地の居酒屋を目指す。
吹き付ける風が冷たい。
「いいじゃない。
繁忙期でもないし、どうせ暇でしょ」
珍しいお酒も揃ってるらしいよ、とあたしがスマホで調べた店の情報を沙織に見せると。
少しは気持ちが動いたのか、沙織はホームページをスクロールしながら言った。
「ていうか、企画部の飲み会に参加って、あんた気まずくないの?
つい最近和田さんに振られてなかったっけ?」
「そんな大昔の話、もう忘れたわ」
そう言ってあたしが舌を出すと、沙織は溜め息をつく。
部長が欲しくてたまらないと自覚はしたものの、まだまだ相手にしてもらえていない。
とりあえず距離を縮めたいところだけど、他部署の上司と接する機会がそう何度もあるわけじゃないし、どうにか誘えたとしても応えてくれるとも限らない。
そんなとき、企画部の飲み会の話を耳にしたのだ。
どうやら件の大阪出張が、大手企業との契約に繋がったことの慰労会のようだったけれど、企画部の男性陣に今夜暇だと匂わせたら、案の定、女子は多い方が盛り上がるからと誘われた。
とは言え部外者が一人で乗り込むのは気が引けるから、沙織を道連れにしたというわけ。
「あんた本当にいい性格してるわよね」
沙織が呆れた声を出した頃、あたしたちは目的の店に辿りついた。