部長とあたしの10日間
「…そんなことより。
何でお前がここにいるんだ？」


相変わらず素っ気ない男。
それが仮にも昨日あたしのマンションまで送ってくれた男の言うセリフだろうか。
そりゃあ、何もありませんでしたけど。


「そちらの部署の男性から誘われたんです。
あたし人気あるみたいなんで」


男の影でもちらつかせたら少しは反応するかと思ったけど、相変わらずの無表情。


ああそう。
あたしが誰に人気があろうと部長にはどうでもいいのね。


「そんなの断ればいいだろ」


部長に会えるチャンスなのに、断るわけないじゃない。


「普段お世話になってるし、断れませんよ」


もしかしてコイツ、あたしがモテることを知らないわけじゃないわよね。


こっちから仕向けたとは言え、企画部の男性陣から強引に誘われたのは嘘じゃないし。
さっきだって、木崎さんにかなりの勢いで迫られてたんだから。
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