忘れ去られたキオク
プロローグ
──とある、大きな大きな教会の中。
神聖な場所である教会に、似つかわしい格好をしている男が1人。
扉から一直線にカーペットが敷かれており、その周りにはたくさんの長椅子。
そして、扉から1番奥の両サイドには、2つの古びたピアノ。
その2つのピアノに挟まれる形で、窓から射し込んでくる光に包まれながら、その男はただただ、祈り続けていた。
──どうか、今日こそアイツが目を醒ましますように。