忘れ去られたキオク
そう考えていたとき、俺の右手がぽわーっと光を放つ。
──1人、来たか。
右手を握りしめると、噴水広場へと向かった。
──あ...シーナだ。
噴水広場で1人、きゃーきゃー騒いでいる椎奈を見つけた。
「サーカスすごーい!!」とか、「バランス力ありすぎ!!」とか、楽しそうに叫んでいる。
──おまえには、何が見えているんだ...?
俺が、そんな疑問を胸に秘めつつも、椎奈は俺には気付いていないようだった。