忘れ去られたキオク
...あれも、いつものことだ。
そう思うことにして、噴水をはさんだ椎奈の向かい側に立った。
...相変わらず向かい側から椎奈の歓声が聞こえるが、しばらくすると、俺の目の前に徐々に人の姿が浮かび上がる。
そして、完全に人間の姿になったソイツは、俺の足下にバタッと倒れた。
「...おい、大丈夫か?」
「...っ。 あ...え、っと、私は...?」
意識はあるようだったが、この状況が掴めないらしく、ボーッとしているソイツを無理矢理立たせた。