忘れ去られたキオク




「ほら、行くぞ」




俺が空に右手をかざすと、よく神話にでてくるような光の階段が天に続いて現れる。



知らない誰かがこれを見ると、驚くだろうけど、俺はもう何百回も何千回も見てきたから、驚きなんて欠片もない。



代わりにあるのは、面倒だという気持ち。



やっと自分の足でたってくれたソイツの手を引っ張って、その光の階段に一歩、踏み出そうとしたとき。




「あ...の、私、死んだんでしょうか?」




おずおずと切り出してきたソイツに素っ気なく「ああ」と答えるとソイツは黙って俺の後をついてきた。





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