忘れ去られたキオク
ソイツを『天国』に届けたあと、俺は噴水広場に戻った。
周りを見渡しても、椎奈はいない。
まだ昼なのに、椎奈がいないだけで辺りは驚くほど静かで、不気味だった。
まあ、ここは『中継地』だからな。
ちょっと不気味なくらいが似合うかもしれない。
まあ、見た目だけで言えば、中央に噴水があって、その周りを囲むように家と教会があるわけだから、外国を想像させるほどだけど。
多分、椎奈はココが気に入ってしまったんだろう。
ココが地上と天国とを繋ぐ、『中継地』であるとも知らずに。