忘れ去られたキオク
しばらくして、静かな教会の中に、鐘の音が鳴り響く。
その音に合わせるように、大きな音をあげて扉が勢いよく開かれた。
「エルネストーッ!! 聞いてよ!!」
祈りをやめさせられた男──エルネストは、ため息をついた。
「シーナ...。 静かにしろ」
それに対して、椎奈(しいな)と呼ばれたハイテンションな女性は、キラキラな笑顔を振り撒いた。
「はーい。
でさー、今日、すごくいいことあったんだよねー!! 」
「...いつもそれじゃないか」