忘れ去られたキオク
「1つだけ、言っておくわ。
彼女、もう9年もここにいるのよね?」
「...はい」
「彼女が9年目のここに来た日、24:00までに全てを終わらせなさい。
つまり、10年間ここにいることのないように、ということよ」
アイリスの、改まった言い方に大切なことだということがすぐに分かった。
すると、うってかわっていつもの華やかな、そして美しい口調に戻った。
「エルネスト。 あなたはこれまで、この中継地でいろいろと頑張ってくれたわ。
これはご褒美よ」
そう言うと、俺の左手にキスをした。