忘れ去られたキオク
ボッと顔が熱くなった。
いや、断じてアイリスのことは好きじゃない。
俺が好きなのは椎...いや、ちがう、そういうんじゃなくて。
あああああ。
明らかに取り乱している俺を見て、アイリスはクスッと笑った。
「左手に、過去を見ることのできる力を宿らせたわ。
はやく、彼女を救ってあげなさい」
「...わ、かりました」
すると、アイリスは微笑みながら1つ頷き、ゆっくりと教会のドアに続くカーペットを歩いていく。
当たり前のように、手をかざすだけでドアを開け、俺に手を降った。
一拍遅く外に出ると、そこにはアイリスの姿はなかった。