忘れ去られたキオク
それからしばらくしてからのことだった。
ギターを弾いているおじさんはすごく歌が上手で。
いつの間にか聞き入ってしまって、5曲目が終わろうとしていた頃。
人だかりから、目立つ銀髪を見つけた。
あたしは、演奏に夢中になっている翔平の隣で、その銀髪を目で追っていた。
突然、ふっとその銀髪が前に倒れたと思ったら、甲高い悲鳴があがる。
「っ!!」
あたしは、言葉にするよりも早く悲鳴があがったところへ駆け寄る。
徐々に、そこには人の輪が出来始めていた。
その輪の中心には、エルネストが倒れていた。