忘れ去られたキオク
銀色の髪の毛があたしの首に当たって、凄くくすぐったい。
くすぐったさで笑ってしまいそうになるのを抑えることができたのは、後ろから聞こえるエルネストの荒い息。
そしてなんとか、あたしの家に着いた。
もしエルネストが倒れたのが教会だったら、あたしはここまで運ぶことができなかったと思う。
...いや、噴水広場からここまで来れたのも、ある意味奇跡。
そんなことを思いながら部屋に入ると、エルネストをベッドの上に寝かせた。
水で濡らしてきたタオルをエルネストのおでこに置く。
エルネストが目を覚ますように、側でエルネストの手をずっと握りしめていた。