忘れ去られたキオク
「シーナ...」
「──来ないで!!!!!」
椎菜に大声でそう言われた俺は、返す言葉が見つからなかった。
アイツには『敵わない』じゃない。
アイツとは『比べられていない』だ。
椎菜の中で俺と翔平とでは、天と地の差。
俺は、少し自惚れていたのかもしれない。
デートを中断してまで俺の看病をしてくれた椎菜の気持ちは、俺に傾いているんじゃないか、って。
でも、違った。
親友が倒れてたら助けるのが当たり前。
椎菜はそういうやつだ。