忘れ去られたキオク



特に整えなくてもいい身支度を整えると、家を飛び出した。



──



「翔平っっ!! 昨日はごめんなさい!!」



翔平の部屋のドアを勢いよく開けてすかさず謝ったあたしへの反応は沈黙だった。



「あたし...!! 翔平の気持ちも考えてみたら、よく分かったの!!

あのときの翔平の気持ち」



「...俺もごめん」




予想外の翔平の言葉に、深く下げていた頭をあげると、翔平が微笑んでいた。



「なんつーか、俺、子供だったよな。

アイツが椎菜におんぶされたって思うとよ、ムカつくけど。
男とか関係なしにおんぶしてやる椎菜の優しさはやっぱり、好きだ」



そう言って照れてしまったのか、手で後ろ髪を掻いている翔平がいとおしくて。





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