忘れ去られたキオク




「あたしも、大好きっっ!!」



そう言って、翔平に抱き着いた。



──と思うと、スルッと翔平の体を突き抜けた腕。



それは腕だけじゃなく、預けようとした自分の体全体が翔平の体をすり抜ける。



「──っ!!」



声にする間もなく、そのまま床に倒れこんだ。



「どうした?」



翔平の普段通りの声が聞こえて我に返る。



「ったたた...。 ううん、なんにも!!」




< 73 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop