忘れ去られたキオク
──翔平の顔がすぐそこにあった。
体に触れることが出来ないんだから、顔にも触れることは出来ない。
...はずなのに。
そっと触れた気がした唇。
──やっぱり、不満じゃないかも。
「ごめん。すげー嬉しくて。
昨日、俺ずっと考えてたんだ。エルネストに椎菜をとられたらどうしよう、って。」
「っ!! そんなわけないじゃんっ!!
あたしの中で1番は翔平しかいないんだから!!」
うつぶせから直って、体操座りをしながら翔平に言った。
「あたしね!! 翔平と仲直りしたら、約束しよう、って思ってたことがあるんだっ!!」