忘れ去られたキオク
「暇なのって...天国だからかしら? 」
今日も、アイリスは右側のピアノの前に座っている。
いつものように微笑みながら俺を見て、そう問いかけてきた。
「...というと?」
「私とは逆に、地獄を支配しているブラム、って人がいるの。
そのブラムとは友達以上恋人未満な関係なんだけど。
...ってそれはどうでもいいわね」
ブラム...。 始めて聞いた。
俺、はっきり言って、椎菜以外には本当に何も興味がなかったんだ。