忘れ去られたキオク
気が付くと俺は言っていた。
「...アイリス様。
俺、シーナに嫌われてるみたいなんです」
アイリスは、鍵盤の上を滑らせていた指を止めた。
「あら、そういうことだったの」
「やっぱり気付いてたんですか」
するとアイリスはクスッと笑った。
「前にも言ったでしょう? 天国からは、中継地も地上もよく見えるのよ」
前、アイリスによって呟かれた椎菜と俺との間に何かあったのかという心配の言葉に、俺は返事を濁した。
でも、やっぱり気付いていたみたいだ。