忘れ去られたキオク
そして、椎菜がココにきて、10年目になる2週間前の今日。
教会の隣の家の中。
1人なのにも関わらず、ニコニコしている椎菜がいた。
そして俺はやっと、椎菜の名を椎菜に向かって呼ぶことができた。
「...なんで、俺を避けるんだ?」
「ご...ごめん!!」
あまりにも簡単に謝られた俺は、拍子抜けした。
...と思うと。
「エルネストに会わないようにする、って約束、守れなかった!!
翔平、ごめんなさい」
俺とは全く逆の方を向いて、さも、そこに誰かがいるとでもいうように謝っている椎菜を見て、頭がカッと熱くなった。