忘れ去られたキオク
~吹き荒れた嵐~ 椎菜side
「...いい加減、気付いたらどうだ?」
怒気を静かに含んだような声が、あたしの隣から聞こえた。
でも、あたしにはそんなの関係なくて。
驚いた表情でエルネストを見つめている翔平に、ひたすら謝った。
「ごめんなさいっ!!
で...でも、あたし!! エルネストを見つけたら、すぐ逃げたり、隠れたりしてたんだよ!!」
「い...いや、怒ってねーから」
そういう翔平の目線の先には、いまだにエルネストがいる。