忘れ去られたキオク
「...いい加減、気付けよ!!!!!!」
いきなりの怒鳴り声に、反射的にその声の主に顔を向ける。
その声の主は、強引にあたしの腕を掴んだ。
「シーナ...。 時間が、ないんだ」
意味深なことを呟いたエルネストは、あたしの腕を強く引っ張った。
...痛い。
翔平に目を向けると、翔平は「そいつんところに行くな!!」と声を張り上げた。
翔平によって伸ばされた手に、エルネストに掴まれていない方の手を伸ばす。
「っ!!」
その手と手は繋ぐことすら、触れることも出来ないまま、無機質なドアの閉まる音によって遮られた。