忘れ去られたキオク
エルネストは、噴水の目の前で止まった。
そして、おもむろにあたしの右手とエルネストの左手を重ねる。
...!!
「エ...エルネスト!! 手、離して!!」
「こうしないと、椎菜も一緒に、過去へは行けない」
「あ...あたしの過去って、なによ!?」
エルネストは黙りこんだまま、目を閉じた。
さっきから、言ってることが分かんない。
時間がないだとか、あたしの過去を見るだとか。
...あたしの過去って、何なの?
そんな不安が渦を巻きはじめるなか、あたしの視界も渦に巻き込まれるようにして意識が途切れた。