秘密の夜
お洒落なイタリアンレストランで、彼と夢のように楽しい時間を過ごした後、店を出て駅に向かった。ワインを飲んだせいか、少しほろ酔い気分。

「……っと、ごめんなさいっ」

足元がふらついて転びそうになり、咄嗟に、横を歩いていた彼の腕を掴んでしまう。

「大丈夫?」
「あ、はい。すみません」

手を離そうとしたら、そのまま、ぐいっと抱き寄せられた。

「あっ、あの………」

ずっと憧れていた、アイドルの胸の中。ぎゅっと抱きしめられて、頭の上から、甘いハスキーヴォイスが降ってくる。

「今日は、彼氏と一緒じゃなかったから、チャンスだと思って―――…」

「え………」

ゆらり。彼の唇が、私の唇に近づく。

秘密の夜が、はじまる――――…。


END.
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