水瓶座の隣人(TABOO)





推測力と説得力に物を言わせて、のし上がった。
43歳、貯金なら十分すぎるほど。もうじきバツイチ、私は売れっ子占い師。


「マリアンヌ先生、局から苦情が来てます。水瓶座のラッキーパーソンは『隣人』が続いてるし、『右隣の隣人と一線を越えてしまおう』は、朝の情報番組の占いに向いてません」

助手のみぃ子ちゃんが呆れ顔で続ける。

「公私混同もいい加減にしないと、仕事を失いますよ」

パソコンのキーボードを弾いてみぃ子ちゃんは提案する。

「水瓶座のラッキーパーソンは『母親』に換えましょう、データベースで検索しても、まだどの星座にも使ってないし」

「嫌よ、みぃ子ちゃん。来週の水瓶座は、隣人と一線を越えよう、なの!」

「せめて、親密になろうにして下さい」

生ぬるい。
でも仕方ないわね、私は頷いて了解を示した。

そろそろだ。
テレビのボリュームを上げる。監修する朝の占いが始まった。

女子アナが、私が作成した星占いを読み上げる。

< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop