オオカミとお姫様
それに腹が立ち、髪を金髪に染めた。
業界では有名な方の親父なので、小さな抵抗のつもりでやった。

が、誰も何も言わなかった。
それが余計に腹立たしかった。

親は俺に興味がないらしい。
それに気づいてしまった俺は、ますますひねくれた。
心を閉ざしていった。
人といることが苦痛でたまらなくなって、ひとり家を出た。

親の名義ってのが気に食わないが、マンションを借りて一人暮らしを始めた。
相変わらず何も言ってこなかった。
俺の居場所は、マンションの一室とこの川だけだった。
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