オオカミとお姫様
「…ん~!!何するか」

食事を終え、伸びをしながら言った。
なんか忘れてるような…あっ!

「あ、聞きたいこといっぱいあったんだった」

詩音を捕まえる。

「あ、え…あのっ…私、汗くさいですよ…」

「全然。いい匂いしかしないから大丈夫」

汗の匂いなんて全くしない。
めちゃくちゃいい匂い…
この匂い好き。大好き。

さっきよりも強く抱きしめる。
聞きたいこといっぱいあるけど、そんなの今は忘れていたいくらい抱きしめた。

「その、聞きたいことってなんですか?」

「あぁ…」

詩音の言葉で現実に戻る。
声のトーンが低くなる。
抱きしめる力が弱くなる。
詩音が不安そうに俺を見ていた。

「キャプテンとはどういう関係だったんだ?」

「え?どういう…?」

「デキてたのか?」

1番聞きたかったこと。
あんなに仲が良かったんだから、デキてても仕方ないとは思うけどさ。
確認しないでいられるほど器の大きい男じゃないから。

「デキてた!?」

詩音が驚きながら言った。
ものすごい勢いで首を横に振っていた。

「違うのか?」

「違います」

「そっか…」

そっか…
そっかそっか…
不安から安堵に変わった。
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