オオカミとお姫様
「…ほんとずりぃよな」

小さくつぶやいて、顔を覆っていた手をはずした。
詩音と目が合った。
俺の顔を見て安心したような顔をしていた。

「あの、他には…?」

今度は困ったような顔。
この短い時間でどんだけ色んな表情出してんだよ。
くそっ。

「あぁ…あ。なんで席替えしてんの?」

「え?あ…それは、玲央に学校来てもらいたくて…」

「俺?」

「私から離れたら来やすいのかなぁって…」

「そうだったんだ」

「はい…」

俺の事考えて席替えしたんだ…
嫌われたのかと思った。
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