オオカミとお姫様
「今度、デートしよっか」

「ぁ…えっと…はい」

「約束だからな。雨だろうが台風だろうが中止しないから」

「たっ台風もですか…」

「冗談だ」

「じょっ冗談ですか…」

安堵した詩音。
全部素直に受け入れようとする詩音のそういうとこ、好きだ。
からかいがいがあるし。

チャイムが鳴った。

「チャイムなりましたね」

「だな」

「授業、出ませんか?」

「え…」

眉間にしわがよる。
また嫉妬心が…

「そんなに嫌ですか?」

「嫌っ」

もっと詩音のそばにいたい。
授業なんかでなくても別に支障ねぇし。
俺は駄々っ子のように嫌がった。

「勉強も学生のお仕事ですよ」

「そんなの知らねぇよ」

そのまま詩音に背を向けた。
今日くらいいいじゃんか。
授業の事忘れて、俺の事だけ考えててよ。
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