オオカミとお姫様
いい加減帰るだろう。
と、思っていたら…

ザブザブと水の音が。
女が川の中に入ってきた。

「冷たっ…」

当たり前だ。
まだ川の温度は冷たい。
入るには寒いくらい。

女はめげずにどんどん俺に近づいてくる。
なんなんだ…一体。

俺は逃げることも、遠ざかることもできなかった。
ただただ、女がこちらへ来るのを見ていた。
なんでだ?

「…えっ!?」

女がバランスを崩した。
転ぶっ!!

「キャッ!!!」

俺は、助けていた。
これは完全に無意識だ。
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