オオカミとお姫様
女を降ろし、

「自分で『寒くないんですか』って聞いておいて入ってくるバカがいるか!危うくびしょ濡れになるとこじゃねぇか」

俺は女に説教じみたことをしていた。

「すっすみません…」

女はまた謝った。

「だっだって聞こえなかったみたいだったので…。近くで言えたら聞いてもらえるかと」

聞こえてたし。
つか、無視してたし。
諦めればいいものを…

「だからって無茶するなよ」

こいつは馬鹿なのか?
聞こえなかったからって、自分から行くなんて。

俺は、川の方へ足を運ぶ。

「あっあの」

女が呼びとめる。

「なんだよ」

「…なんで学校に来ないんですか?」

1番聞かれたくない質問をしてきやがった。
イライラが募る。

「は!?なんであんな狭くて面倒なトコに行かなきゃなんないんだよ」

「そっそれは「これでわかったろ!もう帰ってくれ。そして2度と来るな!」

八つ当たりするかのように吐き捨て、川の中へ入った。
女は悪くないのに。
わかってるのに。
俺は、最低な事をしている。
わかってる…
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