アンラッキーなあたし
「なんか、こう、余裕がないというか、ギスギスして見えるのは、やっぱあれかねぇ、あれ」

「あれって、何ですか?」

あれ、あれ、とルコ先生は繰り返す。やはり、ボケのはじまりだろうか?

そう心配していると、ルコ先生は大きく頷き、

「男、だね」

自信たっぷりそう言った。

は、おとこ?

「え、えっと…」

さっぱり理解出来ないあたしを差し置き、ルコ先生は「そうだ、それだ」と手を打っている。そして、とんでもないことを言い出したのである。
「さくら、お前、男、作れ」

はい?

あたしの頭の上には、はてなマークが飛び交うばかりだ。

男って、どんな材料で作れるの?

あたしの頭の中には、米や、鶏肉や、小麦粉や、しいたけや、まつたけや、えりんぎが次々浮かんでは消えた。

処女の妄想はいつだって卑猥なのだ。
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