アンラッキーなあたし
「ようし。それじゃ、今日より三ヵ月以内に、彼氏をここへ連れてこい。それまでは、仮契約として置いといてやろう」

またしても、契約社員ですか…。

「じゃあ、ようい、どん!」

魔女の掛け声に、あたしは、わけもわからぬまま占いの館を飛び出し走った。

けれど、走ったからと言って「彼氏」というゴールは見えてはこない。

そもそも、28年かかってできなかったことを3ヶ月以内でできるはずがない。

完全に遊ばれている。からかわれていると思ったが、あたしは、そんなむちゃくちゃな条件でものむしかなかった。

とにかく、ルコ先生に見放されたらあたしはお仕舞いだ。

か、彼氏売ってませんかぁ?

あたしは、日の落ちかけた商店街を全速力で駆け抜けた。

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