アンラッキーなあたし
その頃、あたしのいなくなった占いの館で、ルコ先生は優雅にレモンレぃーを飲んでいた。

テーブルの上には、愛用のタロットカードが並べられている。それをじっと見つめ、そして、小さく微笑んだ。

「もうすぐあの子には、人生を大きく変える出会いが訪れる。けれど、それをものにできるかどうかは、あの子しだいだよ」

ぽつり、ルコ先生が一人ごちたことなど、ゴールの見えない猛ダッシュをしていたあたしの耳に届くはずも無かった。
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