アンラッキーなあたし
ルコ先生は三ヵ月以内に恋人を見つけられなければ今度こそクビだと言う。

冗談かと思いきや本気だ。ルコ先生の存在そのものが冗談のようなものなのに、そこだけは本気なんてありえない。

あたしはバカらしくなって、ぽいとハタキを放ると、どかっとソファーにふんぞり返った。

暇、だ。

あたしが平日も勤務していることをまだ知らない顧客は週末でなければやってはこない。それでなくとも、彼女達の多くは学生やOLで、平日の昼間は何かと忙しいらしい。

ルコ先生のお客様はやってくるのだが、ルコ先生がいないと知ると帰っていく。その多くは著名人や権力者で、太い客ばかりだ。例えば、会社の経営者が会社の方針を相談にきたり、政治家が次ぎの選挙の結果を占ってもらいに来たりする。彼らは正規料金のほかに、多くの心付けをルコ先生に支払う。感謝の気持ちなのだそうだ。

羨ましい。あたしもそんな客が欲しい。

けれど、彼らは、あたしには決して自分の運命を占わせようとはしない。弱みも見せない。

あたしでは力不足なのを見抜いているのだ。
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