アンラッキーなあたし
「それは、そうと」

そこでルコ先生は話題を変え、愛用の手帳をバックから取り出した。

黒皮の手帳だ。表紙にはってある瑞樹との2ショットプリクラがいただけない。

「それはそうとね、今週末は外で仕事だよ」

外で仕事とは、イベント会場や催事場に呼ばれていくことを言う。来場者を無料で占い、その料金をのちのちクライアントに請求するのだ。お客にとっては無料なので、普段占いなど見向きもしない人たちも興味本位で占ったり、暇つぶしに寄ったりする。目の回るほど忙しいが、これはこれで儲かるのだ。

「あたしも行く!」

「ああ、そのつもりさ」

反対されるかと思いきや、ルコ先生はあっさり同行を許してくれた。

まずは金だ。男は二の次だ。

目先の金に目のくらんだあたしは、詳しいことを聞きもせず、やる気をみなぎらせた。

やはり、世の中金だなとつくづく思う。
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