アンラッキーなあたし
「あ、いいんです。恵梨菜がやりますからぁ」

そこへ、どこから湧いて出たのか、甘ったるい舌足らずな声で三ツ屋恵梨菜が近づいてきた。

「恵梨菜ちゃんが?ごめんねぇ、忙しいのに」

「いいんですよぉ。それくらい」

「じゃ、僕もいいですか?」

「はぁい。小杉さんの分もね。えっと、他に誰かお茶の欲しい人いませんかぁ?」

恵梨菜の呼びかけに何人かが手をあげ、恵梨菜はいちいち「いち、にぃ、さぁん…」と声に出して数えた。

「本当に恵梨菜ちゃんはよく気がきくね。しかも、可愛いし。誰かさんとは大違いだ」

ブタの小杉が言うと、ハゲの内田もまったくだと言わんばかりに頷き、二人の視線があたしで止まった。

あたしは、

「そういうの、セクハラって言うんですよ!」

と、小汚い中年と老年をばっさりと切ってやった…なんてことができるはずもなく、ただ、すごすごと自分の席へ戻っていった。
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