アンラッキーなあたし
「桜庭さん、ちょっと一人じゃ持ちきれないので手伝ってもらえます?」

社員の希望を一通り聞き終えると、案の定恵梨菜があたしに声をかけてきた。あたしは無言で頷くと、給湯室へ向う恵梨菜のあとをついていった。

恵梨菜は明るく染めた肩までの巻き毛をゆらゆらさせながら、制服のタイトスカートから盛り上がった尻をぷりぷり左右に動かして歩いている。

三浦恵梨菜。
28歳。
通称・エリーゼ。

超のつくほどぶりっこで、お調子者。立場はあたしと同じ派遣社員なのに、要領が良く、明らかに社員からの待遇もいい。

が、裏表が激しい。

あたしは恵梨菜みたいな女がこの世で一番苦手だ。
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