アンラッキーなあたし
「それは、純潔だ!」

声高らかに叫んだあたしを見て、千葉が、あんぐりと口を開けている。

「純潔だ!」

あたしは、もう一度叫んだ。

「じゅ、じゅん…」

千葉が目をぱちくりさせている。どうだ、まいったか!とあたしは胸を張る。

「あたしは、ぺっかぺかの処女なんだよー!しょ、じょ。28年モノ、イエーイ!」

あたしの声がでかすぎて、周りのテーブルに座っている客がいっせいにこっちを振り向いた。

「ば、ばか。座れ!」

ようやく情況を理解した千葉が動揺している。

「あたし、純潔保持者なんですよぉ。この年で!天然記念物並みじゃないですかぁ?今時の女にしては」

「いいから!」

周りの客がおもしろそうに冷やかすので、千葉はますます焦っていた。
< 148 / 354 >

この作品をシェア

pagetop