アンラッキーなあたし
「してねぇだろ。いくらなんでも」

ようやく千葉の口からそう聞いたとき、あたしはようやく安堵のため息を吐いた。

「そうですよね!」

「ああ、そうだとも。多分…」

「多分!」

「仕方ねぇだろう!何も覚えちゃいないんだから!」

ひ、ひらきなおりやがった。こいつ…。

「そんな無責任な!」

あたしたちはベッドに仰向けのまま天井を見つめて言い争った。なんとなく顔を合わせる事ができなかったのだ。

「桜庭、自慢じゃないが、俺は女の子をお持ち帰りしてくわなかったことも、くえなかったことも一度もない」

千葉が唐突にこんな告白をする。

「そ、そんな!じゃぁ…」

千葉の発言に思わず涙ぐむあたしに、千葉は、けど!と大きく声を張り上げた。

「けど?」
「けど、そんな俺でもお前にだけは手を出さない自信がある。喜べ、ある意味初めての女だ」

キル・ユー…。
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