アンラッキーなあたし
「お世話になります」

二度目の訪問でここの住人になることが決まったあたしは、新居に越したばかりの猫のようにうろうろした。

お風呂もトイレも綺麗で、あたしの住んでいたアパートよりずっと快適そうだ。家電も立派である。

「あたし、同棲なんて初めてです!」

うかれて、つい、こんなことを言ったあたしに、

「居候の間違いだろ!」

と千葉。やはり、相当迷惑に感じているようだ。こんな提案をしたことを後悔しているかもしれない。

でも、もはや後の祭りである。棚ぼたとはいえ、ようやく見つけた住処だ。代金は、それこそ体でしっかり払い済みである。

あたしは、必要以上にあちこち触りまくり、マーキングをした。
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