アンラッキーなあたし
こんなはずじゃなかった。こんなに悲しい初体験をするなんて思わなかった。

あたしには理想があったのだ。初めてはもちろん大好きな人で、できれば、白馬に乗った王子様がよかった。ちなみに、その王子様はもっこり白タイツなんて絶対にはいていなくて、金髪で青い瞳なのになぜは日本語ぺらぺらで、あたしに甘い言葉を囁きながらも、ちょっと強引で…。

「…ば!桜庭!」

振り向くと、千葉が後ろに立っていた。

「お前、何自分で自分を抱きしめてんの?」

「こ、これは…」

王子様との初体験を妄想していましたとは言えない。

「エクササイズです!二の腕の」

「あ、そう」

んなわけないじゃん。ああ、あたしのおばかさん。

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