アンラッキーなあたし
「それより、ノックくらいしてくださいよ。あたしだって一応女なんですからね!」

居候のくせに言い訳だけは一丁前だった。

「したよ。けど、お前はエクササイズとやらに夢中だったんだ」

「あ、そうでしたか」

あははと笑ってごまかすあたしに、何か不便な事はないかと千葉が訊ねた。

不便どころか快適すぎだった。開運グッズにつまずくことも、うっかり腰を下してしまう心配もない。

ただ、一つだけ不満があるとすれば…。

「あの…」

「なんだ?」

「あの、これなんですけれど」

あたしはベッドに指を差す。そうゼブラ柄のカバーだ。

これだけはいただけなかった。
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