アンラッキーなあたし
その日から、さっそく家事一切を引き受けた。

「すげぇじゃん!」

あたしの作った夕飯を目の前に、千葉は子供のようにはしゃいでいる。

「これでも料理は得意なんですよー」

仕事で忙しい母に代わって家事は小さい頃からしていた。一人暮らしも長いし、料理だってお手のものだ。

「お前、料理もうまいし、ワイシャツのアイロンがけも上手だし。本当に宝の持ち腐れだな!」

どういう意味だよ!

千葉はあたしの料理に舌鼓を打ちながら毒舌を吐く。

「いい妻としての条件が揃ってるのに、貰い手だけがないとはな」

ほっといてくれ!その減らず口に豚の角煮つめこんでやろうか?

けど、千葉は本当に美味しそうにご飯を食べてくれて、だから、あたしは許してやることにした。
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