アンラッキーなあたし
「あ、いいです。嘘です。忘れてください」

と言ったと同時に、耳を押し当てていたドアが急にガチャリと開けられ、あたしは倒れた。

「お前、何してんだ」

「ってゆうか、千葉さんこそ。ノックしてくださいよ!」

顔面強打。

顔をあげると、闇のなかにそびえ立つ千葉のシルエットが浮かんだ。あたしのノミ以下の心臓が波打つ。

「な、なんですか」

千葉は慌てふためくあたしを無視してリビングの電気をつけた。

「ぎゃー!」

上半身裸の千葉が目の前に立っている。

く、くわれる。

あたしは、ヒィーとショっカーのような声を上げ、しりもちをついた。

もしかしてこれは、急にむらむらしてきちゃったってやつではないだろうか?一度一線を越えると次はほとんどためらいがないというけれど、あたしはためらいだらけだ。

あたしの鉄のパンツを脱がそうたってそうはいくものですか!二度目はないわよ!
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