アンラッキーなあたし
「まあ、気長に待とうぜ。返事まだのやつもいるし。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるかもしれないしな」

本当に失礼なやつだ。

でも、千葉の言う通りかもしれない。世の中広し。きっと、一人くらいはあたしを好きになってくれる人がいるだろう。と、期待したい。

「そんなにさ彼氏が欲しいなら占い師の時のメイク、普段もしてたらいいじゃん?」

千葉が思い出したように言った。

「え?それはだめですよ」

テレビでは(生命の神秘)とかいうタイトルのドキュメンタリー番組をやっていて、ちょうど象の出産シーンからパンダの交尾シーンへ移り変わったところだった。

「なんで?占い師の時のお前、なかなかいけてたぜ」

「だから嫌なんです。あれは本当のあたしじゃないから」

「何言ってんだよ。化粧で変わる女なんてたくさんいるだろう?」

「そうですけど…」

青臭いといわれても、あたしは、ありのままのあたしを好きになってくれる人と恋をしたいと思っている。ブスで冴えなくて、顔のあざを気にしてうつむいてばかりいる、根暗なあたしでも、受け入れてくれる人。
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