アンラッキーなあたし
「そんなやつ、いねーよ」

あっさりと言われた。

「わからないじゃないですか…」

「わかるね。自分に自信がないにもほどがある。自分を愛せないやつが、どうやって他人を愛するんだよ!って…、なんかの本かドラマでやってたぞ」

「だって…」

人気者の千葉にはわからない!わかってたまるか!

気まずくなって、テレビに視線を移すと、まだパンダが愛し合っていた。

おセンチな気分台無しである。

パンダの交尾シーンを横目で見ながら、ふと、あの夜、あたしたちもあんなことをしたのだろうかと妄想し、あたしは、ぎゃーっと叫びそうになるのを必死にこらえた。
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