アンラッキーなあたし
「俺がお前の彼氏のふりをする」

「え!」

まさかの事態発生だ。こんなパターンは考えてもみなかった。

「考えてみりゃ、簡単なことじゃん?無理して彼氏作らなくても、彼氏のふりをしてくれる相手を探せばよかっただけのことだったんだ」

言われてみればそうだ。なんでこんな単純なことを思いつかなかったのだろう。

答えは簡単である。あたしには男友達が(というか友達が)いないので、協力者も知恵を貸してくれる人もいなかったのだ。

「俺、こう見えても演技には自信あるんだ」

初耳である。

「俺、なかなかいい演技するぞ」

その自信はどこからでてくるのだろう?千葉が劇団員だったなんて話は聞いた事がない。

それに、例え千葉がパーフェクトな振る舞いをしたとしても、あたしはできない自信がある。仮に、あたしまでもうまくやれたとしても、それでも、そう簡単にいくだろうか?

だって、相手はあのルコ先生だ。魔女だ。魔女を欺くなんて、下手したらこっちが火あぶりの刑である
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