アンラッキーなあたし
「ちなみに、魚売りってセリフありました?」

「おうよ。魚はいらんかねーってセリフがあったぞ」

でしょうね。

「そんな顔すんなって。なんてったって、俺は営業マンだぜ。嘘八百は得意だ」

会社や取引先が聞いたら真っ青な問題発言ではあるが、それもそうだと思う。人付き合いも慣れているだろうし、最悪、営業スマイルでルコ先生のハートを鷲づかみにしてくれればうまくいくかもしれない。なんだかんだ言いながら、あのバアサンは。若くて可愛い男が大好きなのだ。

「じゃあ、申し訳ないけどお願いしていいですか?」

「ああ、任せとけ!」

なぜだか楽しそうな千葉とは対照的に、あたしは不安でいっぱいだった。

本当にうまくいくだろうか?「魚はいらんかねー?」に任せてよかったのだろうか?
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