アンラッキーなあたし
「お、あったぞ」

千葉が埃をかぶったアルバムを取り出し、これだ、と指を差す。そこにはまだ初々しい千葉と並ぶ、ハンサムな青年が写っていた。

「なかなかだろ?」

「なかなかどころか、かっこよすぎますよ」

「そうだろ?土屋がお前を気に入ってくれるなんて奇跡だ」

いちいちむかつくけど、その通りだ。全く、どうしてこんな人があたしに会いたいと言ってくれたのだろ?もしかしたら、あの時とったシャメは角度や光の関係で実物以上に可愛く撮れていたのかもしれない。そう思って千葉に紹介用に送ったシャメを見せてもらったが、そこには想像以上にひどい顔をしたあたしが写っていた。あんな写真をばら撒かれたなんて大恥である。

「こんな素敵な人が、どうしてあたしなんかを?」

「さあな?けどさ、土屋はいいやつだぞ。スポーツマンで女の子にも人気があるし」

「だから、おかしいじゃないですか」

「俺だってそう思ったさ。でも、土屋はノリノリなんだよ。素朴でいい子そうだって言ってくれてる」

素朴?それって褒め言葉?もしかしたら、土屋君とやらはブス専なのだろうか?それとも、美人は性格が悪いから心の美しそうなブスがいいとか?

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